A Study on High Mass-Resolution Ion Beam Analysis by TOF-ERDA

ERDA(Elastic Recoil Detection Analysis)は軽元素に対して高い感度を有する表面組成分析法の一種であり、様々な材料への応用が進められている[1]。通常、その質量分解能はSSB検出器のエネルギー分解能により決まるが、我々はTOF法を利用することでERDAの高質量分解能化を実現した。理研RILACにおける実験配置を右図に示す。入射イオンは40Ar (41.5 MeV)を用い、反跳イオンの検出にはSSBを用いた。TOFでの時間信号として炭素膜(10μg/cm2)をイオンが通過する際に発生する2次電子を加速してMCPで検出した。この検出器(FASD;FAst Secondary electron Detector )の時間分解能は約500 psであった。SSBとFASDはゴニオメーター上のアームに固定されており、任意の検出角、距離での測定が可能である。今回の実験では検出角55度及び65度、粒子飛行距離314 mmで測定を行った。計測にはCAMAC、PC、KODAQ code[2]を用いた2parameter MCAを利用し、時間信号とエネルギーを同時計測した。試料としてSi waferと厚さ200Åの金膜、Polyimide Quinone膜、SiO2膜、Si3N4膜を使用したが、SSBからのエネルギースペクトルだけでは分離できなかったC,N,Oピークを時間信号を用いて分離することができた。このことにより元素毎のエネルギースペクトルを得ることが可能となった。今回の実験では質量分解能は系全体の時間分解能(約1ns)により決まったが、時間分解能を向上させることで質量数が10くらいの元素に対して質量数1つの差を区別できると考えられる。

[1] H. Nagai et al., Nucl. Instrum. Meth. B28, 59 (1987).
[2] K. Omata et al., IEEE Trans. Nucl., 39, 143 (1992).


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